山下農園から2004年・新米のご案内  戻る
残暑お見舞い申し上げます。
台風に振り回された夏から秋でした。
8月1日には10号が右フックで西日本をかすめました。3日には11号が紀州沖で発生、翌日の晩にはアッパーカットでおそってきました。18〜19日に15号が日本海を通過。猛烈な雨風です。田んぼが柔らかいので、村一番の出来のおらがコシヒカリがぐぐっと傾きはじめたが、その後の好天で立ち直り、「気をつけ」をし直しました。
ところが、8月30日に台風16号。
 
ごうごうと おれが台風と うなりおる
大風で ほこり降り積む 我が家なり
 
築85年の家がぎしぎし鳴り、天井から真っ黒くろすけがいっぱい降ってきました。
翌朝、こわごわ田んぼに行ってみると、コシヒカリは彎曲して筋肉痛を起こしそうなくらいになびいていました。でもダブルで来ていた17号が、それてくれて、ホッ。安心もつかの間、次なる18号台風が、予報を裏切り右カーブを切り、9月7日に上陸。
 
吹く風に 頭を垂れて うなだれる
 
イネをイメージしつつ、「もう今度こそあかんやろ」という、ぼくの心の風景を詠みました。案の定、田んぼの稲は、畳をひいたようにペターっと寝ていました。畦端に倒れずに立っている稲は、籾が風に吹きちぎられて、ほとんどありません。
 
田んぼが乾くのを待ちきれないように、むらの機械組合のコンバインに刈り取ってもらったのですが、いざ収穫が始まると、泥田で機械が故障する方が心配になってきます。
なんと言っても、かたやウン百万円もする高価な機械です。しかし、さすがジャパンの機械と名人芸でした。かなりロスを出しながらも、無事終わりました。
乾燥機に入れて水分15%まで乾燥し、それから籾すりです。
 
がーがーと ヒエや小石も 吐き出せり 
 
籾すり機の音は、その騒音だけで疲れるくらいうるさいのです。それが、予告なしに静かになりました。籾すりが終わったのです。「えっ、もう」。今年は少ないとは覚悟していたのですが、反あたり4俵。目標の半分しかありません。
 
さっそく、新米を炊いて食べてみました。
「やっぱりコシヒカリやなあ、プリプリしていて美味しい」
「シャリ」「ん?」「砂や」
「あれだけ泥まみれの稲を収穫したんやから、石も入るわなあ」
精米する時に、石抜き機を通すので、石は抜けるようになっているのですが、あまりに石が多いと、どさくさに紛れて、お米の中に紛れ込むやつがどうしても出てきます。
石抜き機は、魚の鱗状の傾斜版を揺することによって、比重選をして石を排出する仕組みなっています。比重の軽い石や、ごく微粒の砂が紛れ込んでしまうようです。
 
最後にお詫びとおことわりです。
・お米の中に、小石や砂が混じっているおそれがあります。洗米の時、注意を払っていただければありがたいです。(ただいま、対策を調査中です。小米取り機というのがあって、それを通せば抜けるかもしれません)
・台風の被害をもろにかぶってしまいました。晩生のヒノヒカリは今のところ順調ですが、それにしても、収穫量は大幅減です。年間のお米を確保できないかもしれませんが、あしからずご了解下さるようお願いします。
 
2004年9月 山下農園亭主敬白